LINEモバイルは2016年にサービスを開始して以降、徐々に人気を高めている格安SIMだ。筆者もサービス開始より、長い間契約を続けている。
LINEモバイルは通信速度やSNS使い放題などサービス面での評判が良く、実際に使っている筆者としても、それらのメリットとしてよく挙げられるポイントの満足度の高さに対しては異論がない。
しかしながら、LINEモバイルは必ずしもデメリットが一切ない格安SIMというわけではない。むしろデメリットもそれなりにあるので、人によっては不満を覚えることもあるだろう。
今回は、LINEモバイルの契約を検討している人のためあえてLINEモバイルのデメリットだけを徹底的に挙げていく。契約を考えているなら、一度踏みとどまってデメリットもチェックしよう。
LINEモバイルのサービス内容に関するデメリット
まずはプランの仕様などの、サービス内容に関するデメリットを解説する。
対象SNS使い放題の代わりに低速モードがない
まず挙げられるのは、LINEモバイルだとIIJmioやmineo、OCNモバイルONEなどのように低速モードが使えないことだ。
他社では通信速度が200kbps程度に制限される代わりに高速通信のデータ容量を消費せずに通信できる低速モード(節約モード)がある場合も多いが、LINEモバイルにはない。
代わりに対象のSNSが使い放題になる「カウントフリー」はあるが、低速モードを使いたい人にとってはこの点を不満に感じるだろう。
大容量プランがない
LINEモバイルは最大でも、10GBまでしか選べない。20GBや30GBのような、大容量プランが提供されていないのだ。
LINEモバイルのサービスに魅力を感じても、大容量プランが必須な人はLINEモバイルを契約できない。これは残念なポイントである。
将来的には大容量プランが提供される可能性もあるが、今のところは存在しない。大容量プランをキャリア等で契約しているなら、注意しよう。
LINEフリープランでしか、データ通信専用SIMを契約できない
LINEモバイルの中心である、
・Twitter
・Facebook
・Instagram
・LINE
以上4つのアプリが使い放題になるコミュニケーションフリープラン。コミュニケーションフリープランは、SMS対応SIMか音声通話SIMでしか契約できないしくみとなっている。
LINEモバイルをデータ通信のみに対応したSIMカードで使いたい場合、選択肢はLINEのみが使い放題で通信量1GBの「LINEフリープラン」しかない。
SMSは不要でも、コミュニケーションフリープランを契約するなら強制的に若干高いSMS付きのSIMで契約するしかないのは不便だ。
利用コードの再発行が手間
LINEモバイルでは、LINEのアプリで「年齢認証」を行い、IDで友だちを追加する「ID検索」を利用できる。
しかしID検索の際にはLINEモバイルのマイページに表示される「利用コード」を入力する必要があり、利用コードは1回使ったら基本的におしまいだ。
機種変更などでまた利用コードを使う際は、一度マイページで利用コードの再発行手続きをする手間がかかる。
無料なので金銭面での負担はないが、面倒なのでこれもデメリットに挙げられると実際に使っていて感じた。
通信速度は徐々に下がってきている
筆者はLINEモバイルを1年ほど使っているが、当初は確かに速度が速く快適だったものの、大体契約から9~10ヶ月経った頃から速度が徐々に下がってきている。
平日のお昼頃はだいたい下り1~3Mbps程度にまで、速度が下がってしまう。動画再生や音楽の再生など一通りのことは問題なくこなせているが、今後が心配だ。
今からLINEモバイルを契約するなら、あまり速度の速さについては期待しない方が良いだろう。
LINEモバイルには速度以外にも「カウントフリー」などメリットがたくさんあるので、それらに魅力を感じた場合に契約するのがおすすめである。
LINEモバイルの、料金・端末面でのデメリット
続いて、LINEモバイルの主に料金面のデメリットを解説していく。
音声通話SIMの最低利用期間が長めで、解約金も高い
LINEモバイルでデータ通信専用SIMやSMS対応SIMを契約した場合はいつでも無料で解約できる。ここまでは良い。
しかし音声通話SIMを契約すると、最低利用期間が長い。「利用開始日の翌月から12ヶ月目の末日」までに解約すると、9,800円(税抜)もの解約手数料がかかってしまうのだ。
音声通話SIMを契約したときの、無料で解約できるようになるまでの長さはLINEモバイルのデメリットとして挙げられるだろう。
10分電話かけ放題オプションの料金が高め
LINEモバイルでは、10分以内の通話がかけ放題になる「10分電話かけ放題オプション」が展開されている。これ自体はメリットだが、月額料金の設定はイマイチと言わざるを得ない。
例えばOCNモバイルONEやmineoでは、月額850円(税抜)で10分かけ放題オプションが提供されている。またIIJmioに至っては、月額830円(税抜)だ。
LINEモバイルの10分かけ放題オプションは、それらと比べると数十円ほどではあるが割高である。この高さはデメリットとして挙げられるだろう。
ただし、LINEモバイルではLINEが使い放題。LINEの無料通話機能も、使い放題だ。
LINEの無料通話機能さえ使えば何時間でも通話できるので、それを踏まえて考えると、10分かけ放題オプションの料金が多少高くてもデメリットは補えている、と考えることもできるだろう。
コミュニケーションフリープランの料金設定は高額寄り
コミュニケーションフリープランは対象のSNS系アプリが使い放題になる大きなメリットがある。
しかしその代わりに、月額料金の設定は若干他社よりも高額だ。3GBの音声通話SIMを例に確認してみよう。わかりやすく、主な格安SIMと合わせて表にまとめてみた。
格安SIM名 | 月額料金(税抜) |
LINEモバイル | 1,690円 |
IIJmio | 1,600円 |
OCNモバイルONE(110MB/日コース) | 1,600円 |
mineo(Aプラン) | 1,510円 |
mineo(Dプラン) | 1,600円 |
楽天モバイル(3.1GB) | 1,600円 |
DMMモバイル | 1,500円 |
一覧で見れば一目瞭然だ。LINEモバイルは、少なくとも相場の1,600円(税抜)より90円程度高い。
この差額がカウントフリーなどのLINEモバイル独自のサービスに見合っているか、考えて納得した上で契約した方が良いだろう。
差額がたった90円でも、12ヶ月で考えれば1,080円とそこそこの差になる。格安SIMに乗り換えて徹底的にスマホ代を節約するなら、数十円の差でも見逃してはいけない。
MUSIC+プランと別にLINE MUSICの月額料金がかかり複雑
LINEモバイルには、LINE MUSICの通信量がカウントされず使い放題となるMUSIC+プランがある。
LINE MUSICとは月額889円(税抜)でたくさんの音楽が聴き放題になる音楽の定額配信サービスだ。
音楽のデータ容量は1曲数MB~十数MBと大きいものなので、それがすべてカウントされないのは大きなメリットである。
しかしMUSIC+プランには、弱点がある。
それはただでさえ通常の「コミュニケーションフリープラン」より月額料金が300~700円も高くなるのに、別にLINE MUSICの月額料金もかかってくることだ。
LINE MUSICの月額料金が割安になる「LINE MUSICオプション」を適用することで一応LINE MUSICは通常より安い月額750円(税抜)で使えるようにはなるのだが…それにしてもわかりづらい。
初月無料な代わりに解約月の月額料金は満額請求
LINEモバイルは初月無料で、どのプランを選んでも1ヶ月目は無料で使える。これ自体は大きなメリットだ。
しかし代わりに、解約時はいつ解約しても満額請求となる。初月が無料な関係上そこまで大きなデメリットではないが、日割りではないので覚えておこう。
端末は一括購入しか選べない
LINEモバイルではSIMフリーのスマートフォンやタブレットをセット購入できる。しかし購入方法は、一括購入のみだ。
端末を24回などの分割で購入できる格安SIMもたくさんあるが、LINEモバイルは一括のみである。特に高額な端末をセット購入したいときは、注意しよう。
他社で販売されているのにここでは販売されない端末も度々ある
LINEモバイルでは、他社で販売される新製品の端末ならなんでも販売されるわけではない。新製品で多くのMVNOが取り扱っていてもここではスルーされる場合が、多々ある。
おそらくこれにはなんらかの戦略があると考えられるが、その関係上自分の欲しい端末がセット購入できないケースもしばしばあるのだ。
もし欲しい端末がLINEモバイルで販売されなかったら、LINEモバイルではSIMカードのみを契約し、家電量販店等で欲しい端末を個別に購入すると良いだろう。
後から端末を購入できない
LINEモバイルの端末購入は、SIMカード契約時のみに限られている。後から欲しい端末がLINEモバイルで取り扱われるようになっても、追加購入はできない。
欲しい端末が新しく登場した場合は家電量販店や中古ショップなどで購入し、LINEモバイルのSIMカードを入れて使うことになる。
まとめ
LINEモバイルにはメリットが多い。それは間違いないが。デメリットも今回挙げたとおりたくさんある。
格安SIMは月額料金が安い。しかし安い分、当然ながらいくつかはデメリットも生じてしまうものだ。
LINEモバイル以外も含めて、契約時には評判やサービス内容を徹底的に調査し、納得した上で申し込むのが基本である。